コピー&ペーストの脅威―手作業処理がヘッジ取引に危険をもたらすわけ

コピー&ペーストの脅威―手作業処理がヘッジ取引に危険をもたらすわけ
2014年4月2日 
 

アルノー・テリアン(Arnaud Terrien)、
サンガード 資本市場事業Kiodex、アジア太平洋地域事業開発部長

企業では広範囲なデータセットの数多くの計算の際に手作業で処理を行うことがありますが、手作業への過度の依存はリスクの増大につながり、特にそれがヘッジ取引の場合には、結果的に著しい財務的損失につながりかねません。

一見、膨大な自動計算と思われるところから人手が介入したことによるエラーが露見する事例が報告されることがよくあります。例えば、昨年は米国の一流銀行で、コピー&ペーストの間違いによって62億ドルの取引損失が発生したケースが報告されています。所定の業務ではリスクを監視し限定する手順が備えられていたものの、多くのスプレッドシートがかかわるものであったため、1カ所の計算間違いによってその合成クレジットポートフォリオのマイナス面を銀行が過小評価することにつながったのです。

アジアでは、まだスプレッドシートや手作業での処理に関して、このように注目を浴びる事例はありませんが、これまでに1件もなかったということでも、今後そういうことが起こらないということでもありません。複雑かつ独特の市場要因を持つアジアでも、コモディティの取引をおこなう企業はトレーディング勘定およびヘッジ取引の透明性や可視性を向上していく必要があるのは確かです。

いくつかのケースでは、多くの理由が重なって企業が手作業での処理のリスクを見過ごしていることがあります。企業全体でのデータ統合プロジェクトが、手作業での処理に関わる課題への対処を妨げている場合もありますし、単なるリソースの不足の場合もあります。

スプレッドシートの管理者はそのリスクを認識し、懸念もしているように思われます。一般的に、会社のスプレッドシートはペーパー(デリバティブ)取引データの照合、調達による確定した現物取引の記録、市場データ収集をおこない、最終的には報告書を作成するスタッフが管理しています。

取引業務の規模によりますが、上記の業務によって非常にデータ量の多いスプレッドシートが生成されることがあります。そういったスプレッドシートではエラーを見つけることが困難または不可能なばかりか、重くなったデータによってパソコンが重くなったりクラッシュしたりしかねません。フルバックアップをおこなわれていなければ、データや変更履歴が消失することもあります。そうなれば変更を追跡する方法がなくなるため、スプレッドシートのデータを確認することができません。この点に関する洞察が欠けると、監査人やコンプライアンス部門にとってはデータの正確性やビジネスインテリジェンスが大きな課題となります。

では、企業全体としてのデータアクセスにおいてはどういう意味を持つでしょうか。一言で表すならば、有効な不測事態対応を妨げることになります。例えば、1人の担当者がスプレッドシートを管理していて、その人が突発的な事情で不在だった場合、短時間でその担当者の業務をきちんと引き継げる人がいるでしょうか。スプレッドシートのエラーから起こる問題は直接的な財務的損失だけでは決してありません。財務諸表を再発行しなければならなくなったり、そういった困ったエラーが公になったりした場合には、風評リスクも考慮に入れなければいけません。

現在のヘッジ取引は、スプレッドシートで効率的かつ採算性をもって処理できるものではないのです。各地の企業で取引システムインフラへの総合的アプローチを採用して報告の自動化や処理の効率化をおこなうことにより、コスト効率の改善および事業運営の有効性向上を進めています。それがひいては、スタッフのリソースに余裕を生むことになり、スタッフが事業の成長につながるコアビジネスに関わる活動に専念することができるのです。

ソリューションプロバイダでは、パブリックドメインからの集合データを提供したり、企業での迅速で安全なデータ入力支援をおこなっています。チェック機能が備わっているため、特定の変更をおこなった担当者の識別が可能になり、スプレッドシートの不透明性を排除できます。ウェブブラウザ経由で、ユーザーは取引の確認、計算、報告書の作成を迅速におこなえます。自動化ソリューションを用いることで、安心感が得られるだけではなく、事業の成長に役立つヘッジ戦略の検証と確認にしっかりと時間をかけられるようになるのです。